TEASI
DISC
セカンド・フル・アルバム「壁新聞」
2006.06.30(fri)発売/compare notes records (CN-0008)
2,310円(税込)Distributed by BRIDGE Inc.
[収録曲目] (total time:65"36)
1. 座っている
2. いきててよかった
3. 好きな人
4. あなをあけるうた
5. 木
6. 粘土
7. HAPPY BIRTHDAY
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[TEASI] 松井一平(Vocals, Guitar)/亀山佳津雄(Drums)/森下祥子(Bass)/山口顕子(Piano)
[録音] 稲田 誠(PAAP、ブラジル、Suspiria 他)+TEASI
[ジャケット・アートワーク] 小田島 等
[写真] 緒方四葉
[ゲスト] 植野隆司(Tenniscoats 他)/嵐 直之(asuna 他)/山本信紀(POPO 他)/
飯野弥生(三田村管打団?)/稲田 誠


虚しくして盈てりと為す。TEASI、2年ぶりのセカンド・アルバム完成。
無音で過ごす事が多い。ザワザワとした所謂「ロックンロール」は俺の神経を逆なでする。因果なものだなあ。俺が欲しいものは形骸化した「ロック」なんかでは無い。
俺はレクリエーションの為に音楽を必要としている訳では無い。どこからか切り抜いてきたような狂気やら刺激やら、そんなものには最早何も感じないのだよ。遠くから聴こえてくる鳥の声に狂気を感じる。無音の夕空に爆音のフィードバックを感じるのです。それ等は決して「切り抜き」みたいなロックンロールでは表現できないのです。
TEASIの音楽には隙間が多い。そしてその隙間には例えば蝉の声なんかが入っている。音の隙間。しかしその間、彼等は休んでいるのではない。無音のフィードバックに呼吸を合わせて感受性を研ぎすましているに違いない。スピードと音量とトレブル。そんなものでは生きる人間の本当の「光と影」は表現出来ない。俺はこの歳になって漸
くそれが解って来た。おそ!イッペイ君はまだ若いのにちゃんとそれが解っているんだなあ。凄いぞ、イッペイ君。
吉野 寿(eastern youth、outside yoshino)


TEASIの音楽は、音楽というより生活の中の音みたいだ。時計の音、風の音、生き物の声。それは決して精巧では無く、リズムが欠けていたり、メロディが空の方へ流れてしまったりしてとても自然である。自然であるという事は決して野のような佇まいであるという事ではなく、時にはギンギンに悲しんでいたりする。押し殺したその音の中に確実に激した感情が見える。だからこそ惹き込まれる。癒されながら自らの心を厳しく見つめさせる、TEASIの音楽とはそういう音楽である。
二宮友和(eastern youth、ひょうたん)


あらら、余韻は実は速すぎて何もしないのです。何もしてくれないのです。だから、飛散する手、未登録の足と一緒に外出しましょう。手の余韻。足の余韻。感触だけでは見えない聴けないまた別の音をユックリと確かめに。戒めに。
怒号は無邪気すぎるので、疲れたら壁にもたれましょう。今日と昨日と明日もいきててよかったと都合が付きますので。ユックリはじめましょう。確か目に。今、締めに。
吉田ヤスシ(Suspiria、BISCO)


名古屋のバンドTEASIのセカンド・アルバムが届く。わくわくしてプレイボタンを押す。最初の一音目から、とたんに部屋がTEASI一色に変わった。歌も楽器の音も迷いがなく力強い! とにかくこの緊張感が凄い。すごくとんがっていて挑戦的だし、すごく弱いナイーブな部分もさらけだされてもいるし、その両方が絶妙にまざった音楽だと思いました。ある意味、なにかにトドメを刺したかのような印象を受けました。
最初は寝転んで聞いてたんやけど、聞き終わる頃には思わず僕正座してたもんね。それ見た家のカミさんも「ここは茶室か!」て、突っこんでたくらいだからね。それほど強烈でした(笑)。どうもありがとう。
三沢洋紀(LABCRY、PONY)


『ポケットに手を差しいれると、そこに蝉の抜け殻があった。こまごまとした糸くずや埃を前足の爪で引っかけて現われたそれは、ところどころ粉に帰してはいるものの、背中の割れ目だけは未だぱっくりと開いている。あなたは、そのすき間を覗きこんでみる。そして、そこにある空間を想う。もしくは、そこにあったものを感じてみる。

“壁新聞”と名付けられた、このTEASIのセカンド・アルバムを聴くという体験は、そういうことに似ている、かもしれない。想像してみてほしい。郊外にあるひっそりと、しかしどっしりとした門を構えた禅宗の立派なお寺を。周囲には郊外型の店舗がぽつりぽつり──書店、レストランのチェーン店、駐車場のあるコンビニエンス・ストア──、しかし、目に入ってくる色味の半分以上は自然の緑か広い車道のグレイ、といったような場所だ。

それは2005年9月のことで、このアルバムは、その寺の本堂に機材を持ちこんで録音が開始された。このアルバムを再生して最初に飛びこんでくる音は、背景を埋めつくすような、しかし、たっぷりとした余白のようでもある高い波長の虫の鳴き声。これが、ちょっと風変わりな織り目を持った画布だとか、趣向を凝らしたテクスチャーがある紙のような役目を果たしている。そこに彼らは、絵筆をぽんぽんと乗せていったわけだ。もしくは図らずも、この素晴らしい背景を収めることができた経緯を考えれば、彼らとエンジニアの稲田誠は、風に動かされて移ろいゆく水面の凹凸に大きな蓮の花が開いていく様を見事に捉えた、と言った方が当てはまるかもしれない。

歌声、エレクトリック・ギター、エレクトリック・ベース、ピアノ、そしてドラムス。TEASIの編成は極々基本的ではあるけれど、彼らは皆、五感で言うなら第六感にあたる「何か」か「何者か」を従えているんじゃないか、とさえ思えてくる時がある。それがつまりは、この広大な背景を引き寄せ得たのだ。

さて、ここに収められた8つの曲を最後まで聴き通せば、それが圧倒的な体験だったことをあなたは噛みしめるだろう。65分少々の時間を見つけるのはなかなか困難なことかもしれないけれど、ぜひ耳を澄ませてみてほしい。そうすれば、あなたのどこかのポケットにいつか、TEASIを見つけることができるはずだ。』
福田教雄


[TEASIと『壁新聞』にまつわるあれこれ]
『壁新聞』のエンジニアリング、ミックス、マスタリング、そして1曲でコントラバスを担当した稲田誠は、PAAP、ブラジル、オーロラ、Suspiria、xoexabといったバンドで活躍中のコントラバス奏者でもある。
ほかにも『壁新聞』のゲスト・ミュージシャンに、植野隆司(Tenniscoats/プカプカブライアンズ/majikick)、嵐直之(asuna)、山本信記(xoexab/ POPO/かきつばた)、飯野弥生(三田村管打団?)が名を連ねている。
『壁新聞』の録音は、町田の簗田寺と神戸のコマヤで、ほぼ半分ずつ、さらに名古屋のエルシドスタジオとcanolfanで行なわれた。『壁新聞』のジャケット・アートワークは小田島等が担当。

※敬称略

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